移住者インタビュー 上野養豚 上野淳子さん



大村市にある日岳の山の上で養豚を営む7人暮らしの上野さん一家。「豚が好きだ!可愛くっておいしい!」を合言葉に、元気でおいしい豚さんを育てています。奥さまの淳子さんは埼玉県出身。「付き合っているころから養豚所の跡取り息子だとわかっていたので、いつか地元に戻るんだろうなと。私も大学進学を機に生まれ育った家はとっくに出ていたし、都会暮らしは肌に合わなくて」。結婚が決まって、移住する時も「長崎ね、OK!」と何のためらいもなかったそう。



そんな淳子さんの小さなころからの夢は、自然の中で生きていくこと。「ムツゴロウさんが豚と一緒に暮らしているテレビ番組がずっと印象に残っていて」。動物系の大学に進学し、バイト先の養豚所にそのまま就職。そこで実家の跡を継ぐために神奈川県の大学に進学していたご主人と出会って。まるで豚さんと一緒に暮らすのが運命だったかのようです。
「ものすごい田舎だよ」。ご主人からそう聞かされ、隣り近所の家が1軒も見えないような状態を想像していた淳子さん。「全然、町じゃん」と第一印象を振り返ります。今でもその思いに変わりはありません。「主人の作戦勝ちですね!大村の方でものんびりした地域に住んでいますけど、周りの目は気にしなくていいし、山の近くで子どもたちを思いっきり遊ばせられるし。カフェとか、自分が行ってみたいと思えるお店もどんどんオープンしているし。都会のように選ぶのに迷ってしまうほど、多すぎないのがちょうどいいんですよね」。



大村での暮らしにすんなりなじめた淳子さんですが、子育ては日々、戦いの連続。「私の場合、分娩も子育ての経験も豚が先でした。お母さん豚がブッブーって鳴けば、子どもがミルクを飲みに来てくれる。人間の赤ちゃんだとそうはいかない。人間の子育てはなんて大変なんだと(笑)」。ちょっと息が詰まったときには、ご主人のご両親にバトンタッチなんてこともできる恵まれた環境をありがたく思っています。「できる限り、できる範囲で。浮かれ気分でやろう」。子どもと一緒に歌ったり踊ったりしながら、気負わずに子育てを楽しむことを大切にしています。


田舎は不便だとか、両親と同居するのは不安だとか。移住にはいろんな問題や感情がつきまといます。「つらいとかイヤだとか思うんじゃなくて、最初から好きになっちゃえばいい!」。これは淳子さんがずっと持ち続けている信念です。相手のことを好きになって、思いやりを持って接すればいいんだと。「だって、人生は楽しい方がいいでしょ」。明るくそう話す淳子さんの笑顔は、上野家をあたたかく照らして包みこむ太陽のようです。