移住についてAbout Migration
キイト舎 代表 石川雅美さん
いろんなご縁をむすび、つないで
ありのままを受け入れられる場所に
大村ってなにもないでしょ――。「地元の人はそう言うけれど、私からすると大村には本当になんでもあると思っていて。特に驚くのが自然との距離の近さ。自然が多いところはいっぱいあるけれど、海と山が近いところはそうそうなくて。当初は大村でも山手の萱瀬(かやぜ)地区に住んでいたんですけど、山といっても空港から15分ぐらい。そんな便利な山ってないんですよ」。そう話すのは群馬県で長らく暮らしていた石川雅美さん。移住のきっかけは2011年3月の東日本大震災でした。「そのあとに娘の難病が発覚。治療できるのが全国でも数か所しかなくて。東京はまだ余震が続いていたし、治療のためにもできるだけ水と空気がおいしい場所がいいと思って、母娘で九州を転々とする暮らしを選びました」。大村市は14か所目の移住先。娘さんが向陽高校の調理課に進学を希望したこと、当時通っていた福岡の大学病院まで通いやすいアクセスの良さが決め手となりました。
「自分が困った立場になると、どんなことに社会的ニーズがあるか見えてくるんです」。そんな自身の経験をもとに、これまでの移住先でもさまざまな「居場所づくり」をおこなってきた石川さん。2024年5月には新大村駅近くの複合施設「サクラミライ新大村」の一角にコミュニティカフェ「キイト舎」をオープンしました。「お店をはじめるにあたって、大村の方が好きな名前がいいなと。たまたま大村純忠の「純」を辞書で調べてみたら訓読みで“きいと”というのがわかって。さらに和ろうそくに用いる生糸も同じ“きいと”。もうこれしかない!と」。というのも、石川さんは大村市の耕作放棄地を利用してハゼの木を植樹する活動にも力を入れており、その実が和ろうそくの原料に。生糸は芯材のイグサが離れないよう仕上げに結ぶもの。「人と人をつなげたり、人と企業だったり、自然だったり。いろんなモノやコトを“つなげる”役割の場所になれたらという願いをこめています」。
とはいえ石川さんのように移住先での創業は大変なもの。「大村市って宣伝下手だと思うんですけど、大村市産業支援センターの創業支援がすごく手厚くて。弁護士や行政書士、会計書士など必要に応じて無料で相談できるんです。しかも1案件につき5回まで。サポートのおかげで創業にかかるお金を節約することができました」。さらに「働き方が多様化する今、これからは仕事を自分でつくる時代だと個人的に思っていて。自分で創業するのもアリだと思います」と移住の先輩としてエールを送ります。
ともに移住を繰り返してきた娘さんもすっかり元気に。高校を卒業後、「お母さんのお手伝いをしたい」と、一緒に店を手伝ってくれています。「田舎ぐらしはいろんなスキルが必要。特に人間関係の構築の仕方は都会と全然違います。でもそれってその地域に入ってみないとわからない。その前段階としてリアルな情報が必要に。地元の気さくなおじさんとつないであげるとか、移住のハードルが低くなるようなお手伝いをこの場所を通じてできたら」。自分自身も楽しみながら。穏やかなまなざしで、これからの未来を見つめます。















